10時、運命の時間がやってくる
「お願い、買わせて……」
本日、パシフィコ横浜で開催されるにじさんじのイベント。その物販開始時刻である午前10時を前に、SNSや現地の空気は、言葉を選ばずに言えば「異様な熱気」と「言いようのない不安」に包まれています。わたしも、この独特のヒリヒリした空気感を何度も味わってきましたが、何度経験しても慣れるものではありませんよね。
会場に足を運んでいる方も、自宅からオンラインショップの更新ボタンを握りしめている方も、みんなの目的はただ一つ。「推しの姿が刻まれた、その瞬間にしか手に入らないアイテム」を無事に迎えることです。でも、どうして私たちは、これほどまでに不安になってしまうのでしょうか。今日は、この「物販」という戦いに挑むみんなの心の内と、現地の状況、そしてこの現象が私たちにとって何を意味するのかを、少し落ち着いて考えてみたいと思います。
パシフィコ横浜という「聖地」の難しさ
今回、会場となっているのは横浜のパシフィコ横浜。海風が心地よい素敵な場所ですが、イベント物販となると話は別です。みなとみらい駅からクイーンズスクエアを抜け、あの長いエスカレーターを降りて会場に向かう時の、あの「いよいよ感」。でも、その先に待っているのは、気の遠くなるような待機列であることも少なくありません。
パシフィコ横浜はとにかく広い。けれど、その広さをもってしても収容しきれないほどのファンが集まるのが、今の「にじさんじ」の勢いなんです。朝早くから並んでいる人たちのポストを見ていると、現地の気温や天候への配慮はもちろん、何より「自分の位置からして、果たして在庫は持つのか?」という計算が頭の中でぐるぐる回っているのが伝わってきます。この「物理的な距離」と「在庫の残数」という、どうしようもない不安との戦いこそが、現地物販の過酷さですよね。
SNSから溢れる「期待」と「絶望」の境界線
ネット上の反応を見てみると、大きく分けて3つのパターンがあるように感じます。
まず1つ目は、**「準備万端、気合十分」**な層。「始発で行きました」「リストは完璧です」といった、戦いに備えた人たち。彼らの言葉には、不安をかき消すための強気な姿勢が見え隠れします。でも、その裏には「ここまでして買えなかったらどうしよう」という、深い不安が張り付いているのも分かります。
2つ目は、**「情報の波に呑まれている」**層。「いま列はどこまで伸びてる?」「〇〇の在庫がもう危ないって本当?」という、情報の錯綜に翻弄されている人たちです。SNSは便利な反面、一度不安が広がると止まりません。不確定な完売情報に一喜一憂する姿は、見ていて本当に胸が締め付けられます。
そして3つ目は、**「転売に対する怒り」**を抱えている層。これはもはや、どの界隈でも避けては通れない問題です。自分がこんなに愛しているのに、利益目的の人に奪われるかもしれない。その不条理に対する怒りが、10時直前の緊張感と混ざり合って、非常に攻撃的なトーンになってしまうこともある。でもそれも、根源にあるのは「推しのグッズを正当に手に入れたい」という、純粋すぎるほどの愛ゆえなんですよね。
なぜ私たちは「グッズ」にここまで執着するのか
冷静に考えれば、それはアクリルや紙や布でできた「物」に過ぎません。でも、わたしたちにとっては、それ以上の価値がある。それを改めて実感させられるのが、この10時直前の空気感です。
あのグッズは、イベントに参加したという「証」であり、推しを応援しているという「アイデンティティ」の欠片なんです。それを持っているだけで、日常の辛い仕事や勉強を頑張れる。部屋に飾れば、そこが自分だけの聖域になる。だからこそ、「買えなかった」という事実は、単に商品が手に入らなかった以上の、「自分の愛が届かなかった」ような、あるいは「思い出を形にする権利を奪われた」ような、そんな喪失感に繋がってしまうのだと感じます。
運営の方々も、決してファンを悲しませようとしているわけではないはずです。需要予測を立て、十分な在庫を抱える。それはビジネスとして当然の目標ですが、にじさんじのファンの熱量は、時に数値化できる限界を超えてしまいます。それはある意味、幸せな悲鳴でもありますが、現場で戦うファンにとっては死活問題。この熱量と供給の「ズレ」が、毎回のようなドラマ(あるいは悲劇)を生んでしまうんですよね。
「わかるよ」と言い合える仲間の存在
今、隣に並んでいる見知らぬ誰かも、画面の向こうでタイムラインを追っている誰かも、みんな同じ気持ちで心臓をバクバクさせています。この「共通の緊張感」を味わっていること自体が、実はにじさんじというコンテンツの大きなコミュニティ体験の一部なのかもしれません。
「買えなかったらどうしよう」と震えるあなたの手は、それだけ本気で誰かを応援している証拠です。その熱量は、とても貴いものだとわたしは思います。もし、お目当てのものが完売してしまったとしても、あなたの愛が否定されるわけではありません。でも、やっぱり、本音を言えば全員が笑顔で「買えた!」と報告してほしい。パシフィコの海風が、みんなにとって勝利の風になることを願わずにはいられません。
最後に、今この瞬間を戦うあなたへ
10時まで、あとわずか。あるいは、もう戦いの火蓋は切られているかもしれません。オンラインショップの読み込みが遅くても、目の前の列がなかなか進まなくても、どうか自分を追い詰めすぎないでくださいね。あなたの推しは、あなたが必死に自分を求めてくれていることを、きっと誇りに思っているはずだから。
どうか、必要な人のもとに、必要なグッズが届きますように。そして、パシフィコ横浜という場所が、悲しみの場所ではなく、最高の思い出の出発点になりますように。わたしも、画面のこちら側から、皆さんの勝利を心から祈っています。
お互い、後悔のない1日にしましょうね。深呼吸して、いってらっしゃい!

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