鈴木亮平さんという「絶対的な安心感」の先にあるもの
ついに、あの伝説的な名作『MONSTER』がNetflixで実写化されるというニュースが飛び込んできましたね。しかも、主演のテンマ役には鈴木亮平さん。この一報を聞いた時、わたしは思わず「ああ、分かってるな」と深く頷いてしまいました。
鈴木亮平さんといえば、役作りのために体重を数十キロ増減させるのは当たり前、そのキャラクターの魂までも憑依させるような、日本が世界に誇るべき「カメレオン俳優」です。彼がテンマを演じるのであれば、あの実直で、苦悩に満ち、それでも命を救うことを諦めない外科医の姿を、私たちは何の違和感もなく受け入れられるでしょう。ある意味、テンマ役に関しては「勝ったも同然」という空気さえ、ファンの間には流れています。
でも、それと同時に、私たちの心には得体の知れない「ざわつき」が残っていますよね。そう、あの男の存在です。物語の真の主役とも言える、史上最も美しく、最も残酷な殺人鬼、ヨハン・リーベルトを一体誰が演じるのかという問題です。
なぜ私たちは「ヨハン」の配役にこれほど怯えるのか
浦沢直樹先生の描く『MONSTER』を読んだことがある人なら、ヨハンというキャラクターがいかに特殊か、痛いほど理解しているはずです。彼は単なる悪役ではありません。透き通るような金髪、冷徹でありながらどこか哀しげな瞳、そして人の心を一瞬で支配してしまう人智を超えたカリスマ性。彼は「悪の化身」でありながら、同時に「触れたら壊れてしまいそうな繊細な偶像」でもあるんです。
SNSやネット掲示板を見ていると、このヨハン役を巡って、もはや戦争に近いような熱狂的な考察が繰り広げられています。「今の若手俳優で、あの神々しい美しさと、背筋が凍るような虚無感を同時に出せる人がいるの?」「いや、日本人では無理だから、海外のモデルを起用すべきだ」という声も少なくありません。中には「ヨハンだけはCGでいい」なんて極端な意見まで出るほどです。
これって、それだけ私たちが『MONSTER』という作品を、そしてヨハンという存在を愛し、大切に思っている証拠だと思うんです。テンマが「光」であれば、ヨハンはあまりにも深く、美しい「闇」。この光と闇のバランスが崩れた瞬間、作品の世界観は音を立てて崩れてしまいます。だからこそ、私たちは鈴木亮平さんという最高峰の光を手に入れた今、それに拮抗できるだけの闇を、切実な思いで求めているんですよね。
世間の反応から見える「期待の構造」
今の世間の反応を俯瞰してみると、大きく分けて3つのパターンがあるように感じます。
一つ目は、**「鈴木亮平なら世界に勝てる」という制作側への信頼派**。最近のNetflixは『ONE PIECE』や『幽☆遊☆白書』など、実写化のクオリティを格段に上げてきています。そこに鈴木亮平さんが加わるなら、かつての「実写化=ガッカリ」という常識を打ち破ってくれるはずだと、前向きに捉えている層ですね。
二つ目は、**「ヨハン役次第で即座に評価を翻す」という審判派**。彼らは非常に厳しい目を持っています。ヨハンが画面に現れた瞬間に「あ、これは違う」と感じてしまったら、どんなに物語が良くても受け入れられない。それほどまでに、ヨハンのビジュアルと存在感は、この作品における「聖域」なんです。候補として、道枝駿佑さんやラウールさんのような圧倒的なビジュアルを持つ若手から、海外の新鋭俳優まで、多種多様な名前が挙がっているのもこの層の熱量ゆえでしょう。
三つ目は、**「物語の深度」を心配する原作純粋主義派**。ヨハンの美しさはもちろんですが、あの重層的な人間ドラマ、東西統一後のドイツという背景、そして「名前のない怪物」を巡る哲学的な問いを、現代の実写ドラマとしてどこまで掘り下げられるのか。鈴木亮平さんの演技力をもってしても、脚本や演出が追いつかなければ意味がないという、冷静かつ鋭い視点です。
「わたし」が思う、これからの楽しみ方
正直なところ、わたしも期待半分、不安半分です。でも、これだけ多くの人が「誰がヨハンをやるのか」で熱くなれる作品って、そうそうありません。それ自体が、浦沢直樹先生が描いた物語の凄まじい引力の証明なんですよね。
もし、ヨハン役に誰もが予想もしなかった「無名の新人」が抜擢されたら? あるいは、誰もが認める「あの俳優」が、想像を超える変貌を遂げて現れたら? そう想像するだけで、少しワクワクしませんか?
鈴木亮平さんは、共演者の良さを引き出すことにも長けた俳優さんです。彼が全力で追いかける「ヨハン」が誰になるのか。それは、単なる配役発表ではなく、この実写化プロジェクトが「本気で伝説を作ろうとしているか」を測るための、最初で最大の試金石になるはずです。
今はただ、期待のハードルを最大限に上げつつ、続報を待ちたいと思います。だって、それだけ真剣に悩ませてくれる作品に出会えたことは、ファンとしてとても幸せなことですから。皆さんは、誰のヨハンが見たいですか? あるいは、誰であってほしくないですか? そんなことを語り合う時間さえも、この実写化の醍醐味なのかもしれませんね。

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