はじめに
ふと顎のラインを触ったとき、「あれ、押すと痛い…」と感じたことはありませんか？
「ただの筋肉痛かな？」「もしかして、何か悪い病気だったらどうしよう…」と不安になりますよね。特に、インターネットで検索すると様々な情報が出てきて、余計に心配になってしまう方も多いでしょう。
この記事では、「顎のラインを押すと痛い」という症状について、考えられる原因から自分でできるセルフケア、そして病院を受診すべき目安まで、プロの目線で分かりやすく解説します。あなたの不安を解消し、適切な対処法を見つける手助けとなれば幸いです。
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顎のラインを押すと痛いときに考えられる7つの原因
顎のラインに痛みを感じる場合、その原因は一つではありません。歯の問題からリンパの腫れ、筋肉のこりまで、様々な可能性が考えられます。ここでは、代表的な7つの原因を詳しく見ていきましょう。
1. リンパ節の腫れ（リンパ節炎）
顎の下や耳の下には、ウイルスや細菌と戦う免疫器官であるリンパ節があります。風邪をひいたり、体調を崩したりすると、このリンパ節が腫れて痛みを感じることがあります。
- 主な症状: 顎の下や首筋にコリコリとしたしこりができ、押すと痛む。発熱や喉の痛みなど、風邪に似た症状を伴うことが多い。
- 原因: 細菌やウイルスの感染による炎症。
- 対処法: まずは安静にし、十分な休息と水分補給を心がけましょう。痛みが長引く、腫れがひどくなる、高熱が出るなどの場合は、内科や耳鼻咽喉科を受診してください。
2. 顎関節症（がくかんせつしょう）
顎関節症は、顎の関節やその周りの筋肉（咬筋）に問題が起こる病気です。顎のライン、特にエラのあたりに痛みを感じる場合は、顎関節症の可能性があります。
- 主な症状: 口を開け閉めするとカクカク、ジャリジャリと音がする。口が大きく開かない。顎やこめかみが痛む。
- 原因: 歯ぎしりや食いしばり、ストレス、悪い噛み合わせ、頬杖などの癖。
- 対処法: 硬い食べ物を避け、顎に負担をかけないように意識することが大切です。症状が続く場合は、歯科や口腔外科で相談し、マウスピース治療などを受けることを検討しましょう。
3. 親知らずの問題
親知らずが斜めや横向きに生えていると、歯茎に炎症が起き（智歯周囲炎）、その痛みが顎のラインまで広がることがあります。
- 主な症状: 奥歯の周辺の歯茎が腫れて痛む。ひどくなると口が開きにくくなったり、顎の下が腫れたりする。
- 原因: 親知らず周辺の清掃不良による細菌感染。
- 対処法: 放置すると悪化する可能性があるため、早めに歯科や口腔外科を受診しましょう。レントゲンで状態を確認し、抜歯が必要になることもあります。
4. 虫歯や歯周病の悪化
重度の虫歯や歯周病を放置すると、歯の根の先に膿が溜まったり、炎症が顎の骨にまで広がったりすることがあります。これにより、顎のラインに痛みや腫れが生じます。
- 主な症状: 特定の歯に強い痛みがある。歯茎が赤く腫れている。歯茎から膿が出る。顔が腫れることもある。
- 原因: 進行した虫歯（歯髄炎、根尖性歯周炎）や歯周病。
- 対処法: 緊急性の高い状態です。すぐに歯科を受診し、適切な治療を受けてください。
5. 筋肉の疲れ・こり（咬筋痛）
無意識に行っている歯ぎしりや食いしばりは、食事の時に使う筋肉（咬筋）に大きな負担をかけます。この筋肉が疲労し、こり固まることで、エラの部分を押すと痛みを感じることがあります。
- 主な症状: エラの部分が張っている感じがする。押すと鈍い痛みがある。頭痛や肩こりを伴うことも多い。
- 原因: ストレス、集中している時の無意識の食いしばり、睡眠中の歯ぎしり。
- 対処法: 意識的に上下の歯を合わせないようにする、顎周りのマッサージやストレッチ、温めるなどが効果的です。ストレス管理も重要です。
6. 唾石症（だせきしょう）
唾液を作る「唾液腺」や、唾液が通る管の中に石ができて詰まってしまう病気です。特に顎の下にある顎下腺にできやすく、食事の際に痛みが出やすいのが特徴です。
- 主な症状: 食事をしようとすると顎の下が腫れて痛む。痛みはしばらくすると治まることが多い。
- 原因: 唾液の成分が固まって石になる。原因は完全には解明されていません。
- 対処法: 症状が気になる場合は耳鼻咽喉科を受診してください。自然に排出されることもありますが、治療が必要な場合もあります。
7. 耳下腺炎（おたふくかぜなど）
耳の下から顎にかけてある耳下腺がウイルスに感染して炎症を起こす病気です。代表的なものに「おたふくかぜ（流行性耳下腺炎）」があります。
- 主な症状: 耳の下からエラ、顎にかけて腫れて痛む。発熱を伴うことが多い。両側が腫れることも片側だけのこともある。
- 原因: ムンプスウイルスなどのウイルス感染。
- 対処法: 感染症のため、内科、小児科、耳鼻咽喉科を受診してください。安静にして、医師の指示に従いましょう。
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自分でできる？顎の痛みを和らげるセルフケア
病院に行く前に、まずは自分でできる対処法を試してみるのも一つの方法です。ただし、痛みが強い場合や悪化する場合は無理をせず、専門医に相談してください。
患部を冷やすか温めるか
- 冷やす場合: 急な痛み、ズキズキする痛み、熱を持っている、腫れがひどい時。炎症を抑える効果が期待できます。濡れタオルや保冷剤をタオルで包んで数分間当てましょう。
- 温める場合: 筋肉のこりや血行不良が原因と思われる鈍い痛み。筋肉をほぐし、痛みを和らげる効果があります。蒸しタオルやカイロなどで優しく温めましょう。
顎周りの筋肉を優しくマッサージ
食いしばりなどで凝り固まった筋肉をほぐすマッサージです。痛みが気持ちいいと感じる程度の強さで行いましょう。
- 口を軽く開け、リラックスします。
- エラの張っている部分（咬筋）に人差し指から薬指の3本を当てます。
- 「いー」と噛みしめた時に硬くなる筋肉を確認します。
- その部分を、円を描くように優しく10回ほどマッサージします。
- これを数セット繰り返します。
顎への負担を減らす生活習慣
- 硬い食べ物（せんべい、スルメ、フランスパンなど）やガムを控える。
- 食事は片側だけで噛まず、両方の歯でバランス良く噛む。
- 頬杖をつかない。
- うつ伏せで寝ない。
- 日中、無意識に食いしばっていないか意識し、気づいたら力を抜く。
危険なサインは？すぐに病院へ行くべき症状
ほとんどの場合は緊急を要しませんが、以下のような症状が見られる場合は、早急に医療機関を受診してください。
- 痛みが我慢できないほど強い
- 口が指1本分も開かない
- 高い熱が出ている（38度以上）
- 顔が目に見えて腫れ、左右非対称になっている
- 呼吸がしにくい、ものが飲み込みにくい
これらの症状は、重度の感染症や他の深刻な病気のサインである可能性があります。
顎のラインの痛み、何科を受診すればいい？
「どの病院に行けばいいの？」と迷う方も多いでしょう。原因によって専門の診療科が異なります。
- 歯科・口腔外科: 歯、歯茎、親知らず、顎関節症が原因と思われる場合。まずはこちらに相談するのが一般的です。
- 耳鼻咽喉科: リンパの腫れ、唾石症、耳下腺炎など、喉や耳、首周りの症状が疑われる場合。
- 内科: 発熱や倦怠感など、全身の症状を伴う場合。
もし判断に迷う場合は、まずはかかりつけの歯科医に相談するか、最も当てはまると思われる症状の専門科を受診してみましょう。
まとめ
顎のラインを押すと痛い原因は、リンパの腫れから歯の問題、筋肉のこりまで多岐にわたります。まずはご自身の症状と照らし合わせ、考えられる原因を探ってみてください。
セルフケアで改善することもありますが、痛みが続いたり、悪化したり、今回ご紹介した「危険なサイン」が見られたりした場合は、決して自己判断で放置せず、専門の医療機関を受診することが大切です。
不安を一人で抱え込まず、専門家の診断を受けて、スッキリとした毎日を取り戻しましょう。
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